Your Eyes Only Vol.1
ネルシャツが活躍する季節がやってきました。アメカジやヴィンテージの世界でいうネルシャツとは、コットンのフランネル素材を使ったシャツのこと。その種類は様々ですが、最も一般的なチェックの織り柄のものは、もともとはウール素材の屋外用ワークシャツがその原点です。
1930年代後半から流通し始め、1950年代後半にはファッションとしても一般化しました。そのため1960年代のものは、耳付き生地の質感やチェック柄のパターン、ボタンの風合いや形状、マチ付きなど、ヴィンテージならではのディテールとチェック柄の豊富さから、最も象徴的な存在といえます。
ウエアハウスでは、その当時のネルシャツを完全再現。その代表格が、Lot 3104 FLANNEL SHIRTSです。チェック柄のパターンも実在するヴィンテージに忠実です。
現代において当時の仕様をそのまま作るのは、本当に面倒で手間がかかるため、価格的には高級なシャツの領域になってしまうのですが、ようやくヴィンテージ古着の世界でもその価値が見直され、この数年で高騰。ネルシャツ自体が、一般的に再評価されてよかったと感じています。
高価なシャツなのでたくさん着まわしたいですし、着れば着るほど味わい深くなりますので、ここではその着まわし方についてお話しましょう。ネルシャツは主張が強く思われていますが、実はインナーのTシャツと靴の合わせ方で、スタイリングの印象は大きく変わるんです。ここでは、Lot 3104 FLANNEL SHIRTS D柄で実際にその印象の違いをお見せしましょう。
(A)は、シャツのイエローを拾ってインナーも同色にした場合。このようにポップになると可愛らしく見えてしまうことがあります。アメカジの醍醐味でもありますが、それを少し押さえたいなら、足元にホワイトのスニーカーを合わせてみてください。すっきり見えて一気に大人っぽい印象になります。
Tシャツ:Lot 4601 UNBEATABLE
ジーンズ:2ND-HAND 1105 (USED WASH 淡)
(B)は、インナーにホワイトを挿した場合。シャツのチェック柄にないプリント色が浮かないよう、その色をスニーカーで拾うと全体的な挿し色になってコーディネイトがまとまります。
Tシャツ:Lot 4601 SPEED SPORT
ジーンズ:2ND-HAND 1105 (USED WASH 淡)
(C)は、シャツのイエローをプリント色で拾った場合。ボディ色がホワイトなら軽やかになりますが、あえてブラックで全体を引き締めました。足元にはエンジニアブーツを合わせると、ロックな雰囲気もプラスされます。ブラックにホワイトソールのオールスターのようなローテクスニーカーを合わせてもいいですね。
Tシャツ:Lot 4601 S.S.COSMAS & DAMIAN
ジーンズ:2ND-HAND 1105 (USED WASH 淡)
(D)は、インナーのTシャツのプリント色をジーンズに合わせた場合。Tシャツのボディ色はホワイトなので、足元をホワイトのスニーカーにしてもいいんですが、シャツのポップさを少し引き立てるために、あえてイエローのスウェード素材のスニーカーを合わせました。Tシャツがホワイトなので、可愛くなりすぎないんです。
Tシャツ:Lot 4601 UNBEATABLE
ジーンズ:2ND-HAND 1105 (USED WASH 淡)
ネルシャツの中には、暗いトーンのチェック柄も少なくありません。それを着る場合、ジーンズと合わせると「普通すぎる」着こなしになってしまいます。
(A)は、シャツのボタンを留めた場合。普通のアメカジにならないよう、2インチオーバーサイズのジーンズを合わせ、足元にはシャツの色も入ったボリュームのあるスニーカーで、イエローとホワイトを挿して全体に明るさをプラスしました。
(B)は、シャツのボタンを開けた場合。インナーのホワイトTシャツを見せるだけで、印象がガラッと変わります。全体的に暗いトーンだったのが、一気に明るくなりました。
ボタンの開け閉めで印象が変わるという例をもうひとつ。ジョン・グラッコーのThe Modern Flannelというネルシャツでご紹介します。
(A)はトップボタンまで閉めた場合。カチッとした印象になるので、ちょっと品よくネルシャツを着たい時におすすめです。太いボトムスの方がバランスが取りやすく、第4ボタンから下を開けると、ニュアンスも出せますのでアレンジしてみてください。
(B)はボタンを留めない場合。肩を少し抜いて着ると、ニュアンスが出て着こなしている感じが引き立ちます。袖をまくって着ると、こなれた感じが出ていいですよ。
袖をまくる際にこなれた感じを出すテクニックがあります。左右の写真を見比べてください。
(A)は単純に2~3回まくった場合。キッチリした普通の腕まくりという印象です。このまくり方では、着こなしのアクセントといえるようなニュアンスは表現できないんです。
(B)は2回まくった後に半分だけもう1回まくった場合。一見テキトーにまくったように見えますが、これが着こなしにこなれた感じを出すんです。左右ともに最後の“半まくり”を同じ側に揃えるのがポイント。写真の場合、左右の腕の右側を最後半まくりしています。
ウエアハウスのネルシャルは、1950~60年代頃のヴィンテージをもとに糸から完全再現しています。写真のものは、スタッフが約10年着用したもの。着用と洗濯を繰り返すことで生地裏の起毛がなくなって、ふんわりした生地感はガシッとドライな質感に変化しています。
色合いも陽射しなどによって徐々に褪色し、ヴィンテージと見分けがつかない雰囲気になっています。これがウエアハウスが手がけたネルシャツの醍醐味です。
この経年変化を楽しむためにも、1着のネルシャツをどんどん着まわすことが重要です。これからがネルシャツのハイシーズン。ぜひお試しください。
2026年9月30日
NOT A MUSEUM プロデューサー
三浦 正行
1977年生まれ、北海道札幌市出身。1990年代に名を馳せた札幌の老舗ヴィンテージショップでスペシャルなヴィンテージを担当。その後、アメカジの老舗雑誌、兄弟誌で編集長や副編集長を務めた。編集者時代にウエアハウスに関する連載やタイアップなど長年担当。現在もヴィンテージ古着とMIXしてウエアハウスのプロダクツを日々愛用している。“ヴィンテージ&アート”をテーマに、ジャンルに関係なく「風合い」や「アート性」に魅力のあるモノやコンテンツを提案する『NOT A MUSEUM(ノット ア ミュージアム)』を2026年にスタート。その活動の一環で、ウエアハウスのオンラインストア内で『YOUR EYES ONLY』の連載も担当する。